3月8日は国際女性デーです。この機会にジェンダー格差の大きいインドとeスポーツの関係について「女性のエンパワーメント」という観点から深掘りしてみましょう。
eスポーツにおけるインド女性
男性優位という固定観念が持たれがちなeスポーツ界ですが、女性の積極的な参加により変化が起こりつつあります。インドでは女性の社会進出に伴い、女性の開発者、デザイナー、ライター、コーチ、経営者などが増えています。
インド商工会議所(FICCI)は、インドのeスポーツ視聴者における女性ファンは2023年の23%から2024年には25%に増加すると予測しています。
ちなみにアジア全体では、女性プレイヤー市場はゲーマー全体の37%を占め、年間成長率は11%と、男性ゲーマーの約2倍。女性ゲーマーはアジアのゲーム市場の総収益の約 23.5%を占め、今後数年間で規模が2倍になる可能性があると調査会社Niko Partnersは予測しています。女性eスポーツの拡大はアジア全体の流れのようです。
このトレンドを察知し女性ゲーマーの影響力と魅力を活用しようとするファッションブランドも出てきています。ファッションとゲームのコラボには「バーバリー x マインクラフト」「バレンシアガ x フォートナイト」「グッチ x ロブロックス」などもあります。
成長する女性ゲーマー
インドでeスポーツのキャリアを選ぶ女性が増えていますが、ゲーム業界で働く上で重要となるのが、STEM (科学・技術・工学・数学)教育です。教育における男女格差があるインドですが、伝統に甘んじることなくeスポーツに関心を持って勉学を続けたいと思う女性も今後さらに出てくることでしょう。
eスポーツをフォローする女性やゲーム関連の職業に就く女性が増えれば、もちろん活躍する女性ゲーマーも増えてきます。
インドの著名な女性ゲーマー
Payal Dhare
Kaashvi Hiranandani
Kangkana Talukdar
Shagufta Iqbal
Mahek Syed
Anjali Roy
Pooja Khatri
Shakshi Shetty
Saloni Pawar
Shazia Ayub
eスポーツで推進するジェンダー平等
これを語る上でまずは、インドの著しい男女格差を理解する必要があるでしょう。国連によるとインドの男女比は女性100人あたり男性 は約107人で世界平均を上回っています。つまり女性は生まれてきにくく死にやすい社会であるということです。
インドでは女性は男性に仕える者とされ、夫の火葬時に妻が炎に身を投じて殉死することが美徳とされている時代もありました。世界の統計で女子は出生時の生存率が高いですが、大国のなかでインドは唯一、女子のほうが死亡率が高い特異な国となっています。退学率も女子のほうが高く、性的な差別や虐待、児童婚という伝統も根強く残っておりUNICEFはジェンダー平等を実現すべく是正を訴えています。
女性限定の大会もありますが、eスポーツは基本的に男女が同じ土俵でプレイできる競技です。また、女性プロゲーマーが活躍することで「男性に仕える者」という古い先入観を拭い去ることができるでしょう。
まとめ
インドには男尊女卑以外にも、カーストという身分制度の伝統があります。日本の過去の歴史とも似たところがあるかもしれません。
インドの身分格差の突破口となったのがゲームを含むテクノロジー業界です。身分によって職業が決められていたインドですが、ゲームを含むITは新規産業のため身分の垣根を超えて人材が登用されました。
SDGsにもある通り、持続可能な開発には格差をなくすことが必要不可欠です。
IT産業がインドの身分格差にくさびを打ち込んだように、eスポーツにはジェンダー格差を是正する力を秘めているといえるでしょう。
なぜ女性プロゲーマーは少ないの? その謎を徹底検証
(C)©Alena Darmel
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