モバイルeスポーツが、このところ急速に成長しています。アジア地域は以前から、手頃なモバイルでのゲームが盛んでした。しかし、これは局地的な現象ではなく、これまで一般的だったPCのeスポーツを激しく突き上げており、世界全体で地殻変動が起こっていることを感じさせます。
日本でもモバイルゲームは非常に盛んです。ゲーム以外でも、ユーザーはPCよりスマートフォンを好んで使っている割合が、他の国々より多い傾向があります。PCのeスポーツで、世界に遅れをとっている日本ですが、モバイルeスポーツの隆盛は、今後の日本のeスポーツシーンを変えていくのでしょうか。
eスポーツの分析を行う『Esports Charts』は、2020年の世界のモバイルeスポーツの視聴時間に基づき、ランキングを発表しました。また、2021年の動向についても洞察を提供しています。
コンテンツ
1位:『PUBG Mobile』
視聴時間:134,554,130時間
瞬間最高視聴者数:1,153,865時間(PUBG Mobile World League 2020 East)
配信時間:7,853時間
日本でもおなじみのバトルロイヤルゲーム『PUBG Mobile』が見事1位に輝きました。2位との視聴時間の差は、わずかに1.75%でした。アマチュアの大会が数多くあり、視聴時間が積み重なったことが奏功しました。
本タイトルで最も人気だった大会は「PUBG Mobile World League 2020」とりわけEastern divisionでした。PCを含む全てのeスポーツの中でも、トップ5に入っています。なお「PUBG Mobile World Championship」が2021年1月の開催となり、今回のデータには含まれていません。
非常に人気のあったインドで禁止となり「PUBG Mobile Club Open 2021」は、インドのチームが参加しておらず、影響が避けられない状況です。しかし、本タイトルはMENA地域(中東・北アフリカ)にも力を入れ、公式大会を開催しています。
「PUBG Mobile Pro League」も人気があります。『PUBG Mobile』は学生コミュニティーの開拓にも積極的です。本タイトルは、それぞれの地域での存在感を出すだけに留まらず、ストリーミングでTwitchに加えてNimo TVでもカバーしています。
2位:『Garena Free Fire』
視聴時間:132,245,801時間
瞬間最高視聴者数:2,566,046人(Free Fire Continental Series 2020 Asia)
配信時間:3,165時間
『Garena Free Fire』は、視聴時間が246%増加し、3位から2位に上昇しました。本タイトルで一番人気の大会は「Free Fire Continental Series 2020 Asia」でした。
本タイトルで最も人気の大会は「Free Fire Continental Series 2020 Asia」で、瞬間最高視聴者数は2,566,046人した。アジアの視聴者数が、初めてラテンアメリカを上回りました。PCを含む全てのeスポーツの中で「Free Fire Continental Series 2020 Asia」と「Free Fire Continental Series 2020 Americas」は、瞬間最高視聴者数と平均視聴者数でそれぞれ2位と3位でした。
『PUBG Mobile』がインドで禁止され、同じくバトルロイヤルゲームの『Garena Free Fire』にファンが流れてきています。
3位:『Mobile Legends: Bang Bang』
視聴時間:106,123,919時間
瞬間最高視聴者数:1,387,047人(MPL ID Season 6)
配信時間:3,182時間
MOBAゲーム『Mobile Legends: Bang Bang』(ML:BB)は3位から2位に上昇しました。視聴時間は262%増加、瞬間最高視聴者数は114%増加しました。
インドネシアをはじめ、フィリピン、ミャンマー、マレーシアといった東南アジア地域で定期的にリーグが開催されており、人気を博しています。アジア以外にもCIS(ロシア圏)で勢いがあり「M2 World Championship 2020 CIS Minor」は白熱しました。
「Mobile Legends Professional League」は、韓国のLCK leagueに次いで、2番目に人気のeスポーツリーグです。「M2 World Championship」は2021年1月に延期されたため、今回のデータには含まれていません。
4位:『伝説対決 -Arena of Valor-』
視聴時間:93,903,206時間
瞬間最高視聴者数:670,768人(Arena of Valor International Championship 2020)
配信時間:2,238時間
視聴時間が30%増加。2019年には1位でしたが4位に後退しました。開催された大会が少なかったことが主な要因です。本タイトルは、とりわけアジアで人気があります。「Arena of Valor International Championship 2020」は、瞬間最高視聴者数568,000人と記録を更新し、視聴時間は96%増加しました。
5位:『クラッシュ・ロワイヤル』
視聴時間:6,908,593時間
瞬間最高視聴者数:112,578人(Clash Royale League World Finals 2020)
配信時間:963時間
『クラッシュ・ロワイヤル』(Clash Royale)は、順位は前回と変わりありませんが、視聴時間が31.3%増加。「Clash Royale League World Finals 2020」の瞬間最高視聴者数は前年比18%減少しました。
『League of Legends: Wild Rift』が2020年の年末にリリースされ、瞬間最高視聴者数では『クラッシュ・ロワイヤル』を上回りました。
その他に気になるゲームタイトル
『Brawl Stars』『CoD: Mobile』『Clash of Clans』『Summoners War』『League of Legends: Wild Rift』は、トップ5入りしませんでした。
『LoL』は従来からeスポーツ界において圧倒的な位置づけにありますが、モバイルeスポーツでは、『LoL: Wild Rift』をローンチしてしばらく経っても公式大会がありません。今後、何らかの動きがあるものと思われ、ファンベースが多いため上位にくい込んでくる可能性は、十分にあるでしょう。
2021年も世界的にモバイルeスポーツが躍進
2020年のモバイルeスポーツの躍進は顕著で、2021年もその勢いが続いています。従来のeスポーツは、概ね1~10%の成長で推移しているのに対して、モバイルeスポーツでは100%以上の成長がざらになっています。
アジアだけではなく、MENA地域、ラテンアメリカ、CIS(ロシア圏)でもモバイルeスポーツは伸びています。開発途上国では、PCといった他のデバイスと比較して手軽で誰でも持っているスマートフォンでゲームをしている傾向があり、それがeスポーツにも反映しています。
また、コロナ禍という世相もあり巣ごもり需要で、Nimo、TikTok、Booyahといった新たなプラットフォームで、新規のファンが増えている模様です。
【まとめ】モバイルゲームを日本のeスポーツの転機に
日本はゲーム大国でありながら、eスポーツに関しては海外と比較して、遅れをとっている感が否めません。
しかし、それはゲーム環境やカルチャーが、世界の主流と異なっていることが要因の可能性があります。日本は以前からモバイル愛好家が多く、海外で人気のPCのeスポーツに馴染めなかった人もいるでしょう。
スマホは年々、性能が進化し操作性も向上しています。また、eスポーツのゲームの傾向として、操作が簡単で競技性のあるものが好まれており、幅広いユーザーにとって、モバイルが「丁度いい」という感があります。また「モバイル」(移動)という文字通り、いつでもどこでもプレイできる便利さも、好材料です。
世界的なトレンドを見ると、モバイルeスポーツの成長が著しく、PCのeスポーツを飲み込まんばかりの勢いがうかがえます。この潮流に乗って、日本のeスポーツ界が盛り上がっていくことを期待しましょう。
(C)©Esports Charts
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URL: https://www.gamers.work/
参照:
https://escharts.com/news/most-popular-mobile-esports-games-2020