
米テクノロジー大手Microsoftが運営する動画配信プラットフォームMixer が6月22日、1カ月後の7月22日にサービスを閉鎖することを突如、発表したのを受けて、人気プロゲーマーを含むストリーマーの間で混乱が広がっています。
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成長速度が、許容出来ないことが明らか
Mixerは、ブログを更新し、閉鎖の経緯を説明しています。
「Mixerのパートナーとストリーマーの成功は、結局のところプラットフォームをどれだけ迅速かつ広範囲に拡大できるかにかかっています。私たちのライブストリーミング・コミュニティー拡大に要している時間は、MicrosoftとXboxがゲーマーに提供したいビジョンとエクスペリエンスにおいて、許容範囲外なことが明らかになり、Mixerの運営を閉鎖し、新しいプラットフォームへのコミュニティーの移行を促すことにしました」
Mixerは、コミュニティがFacebook Gamingを利用することを勧めており「XboxとFacebook Gamingは、幅広い取り組みを行っており、ゲーム界全体に新たな体験と機会をもたらします」と続けています。
今後はFacebookと提携、 同等条件で受け入れ提示もストリーマーは態度を保留
今回の提携は、同時にFacebook Gamingからも発表されています。7月22日以降、ユーザーはMixerサイトとアプリからFacebook Gamingにリダイレクトされるとのことです。
Facebook Gamingは、Mixerと契約していた全てのパートナーを同等の条件で、受け入れる準備があり、その決定は相手次第とのことです。
2019年8月にNinjaこと、リチャード・テイラー・ブレヴィンズが巨額の契約金で、TwitchからMixerに移籍したのを皮切りに、10月には、TwitchではNinjaと並び屈指の人気を誇ったトップストリーマーのshroudことマイケル・グゼシェックもMixerへの移籍を発表しました。その後、 KingGothalion(コリー・ゴサリオン・マイケル)、Ewok(ソレイル・エウォック・ウィーラー)と次々に移籍しました。
しかし、今回のMixerの突然の発表に、パートナー側は衝撃を受けていると言われており、ストリーミング中に報道を見たファンに知らされたというストリーマーもいるとのこと。大半が最大手のTwitch(Amazon)を検討しているという情報もあるようです。
Ninjaは、Mixer閉鎖の発表時点では、態度を保留しており、次の通りツイートしています。
「僕は自分のコミュニティ、そして一緒にMixerで作り上げたものが大好きです。決断しなければならないことがありますが、みんなのことを考えて決めます」
I love my community and what we built together on Mixer. I have some decisions to make and will be thinking about you all as I make them.
— Ninja (@Ninja) June 22, 2020
shroudは「Mixerコミュニティーと、そのプラットフォームで出来たこと全てに感謝します。みんな、大好きです。僕は次のステップを考えています」とツイートしています。
I appreciate the Mixer community and everything I’ve been able to do on the platform. I love you guys and am figuring out my next steps. 💙
— Michael Grzesiek (@shroud) June 22, 2020
ストリーミング業界は急成長、 Mixerは巨額投資も足踏み状態
Mixerは、Microsoftが2016年にBeamを買収して改名したサービスで、ストリーマーとオーディエンスのインタラクションに重きを置き、低遅延が特徴でしたが、ユーザー数を伸ばすのに苦労しました。
ゲーム専門の調査会社『Newzoo』は「Ninjaの移籍だけでは、影響は小さなものでしたが、その後にストリーマーの移籍が活発化したことで、Twitchに影響を与えたようです。2019年のMixerは、前年比の伸びは印象的ですが、shroudとの独占契約にもかかわらず、第3四半期から第4四半期で数字は低くなっています」と報告しています。
2020年に入ると新型コロナウイルス感染症(COVD-19)のパンデミックが発生し、ライブストリーミング・プラットフォーム業界全体としては活況でしたが、Mixerについては芳しくなかったようです。
『Stream Elements』によると、2019年4月と2020年4月の視聴時間を比較すると、業界全体で99%成長しており、Twitchは101%、 YouTubeは65%、Facebook Gamingは実に 238%の成長を記録したにもかかわらず、Mixerは0.2%とわずかな伸びに留まりました。
また、パンデミックが直撃した2020年3月と2020年4月の視聴時間を比較すると、業界全体で45%成長しており、Twitchは48%、 YouTubeは14%、Facebook Gamingは72%の成長も、Mixerは15%増で、やはり低水準でした。
瓦解は以前から進んでいた?
Mixerは、このところ創設者、ゼネラルマネージャー、バイスプレジデントといった幹部が次々に退任し、それ以前から大規模なリストラも始まっていて、機能のリリースも遅れていたようです。
ストリーミングプラットフォームは現在、春秋戦国の真っ只中と言われています。Twitch随一の人気ストリーマーだったNinjaが昨夏、競合するMixerと独占契約したことで、タレントの引き抜き合戦が勃発しました。
乱立するサービスが今後、統廃合により淘汰されて市場が成熟し、この流れは落ち着いて行くのでしょうか。それとも、大枚を叩いてタレントを獲得することは、今後も続いていくのでしょうか。
いずれにしても、その火蓋を切ったのは、Mixerだったと今後、語り継がれていくことでしょう。
(C)©Mixer Microsoft, ©Facebook Gaming
ゲームを仕事に。チャンスをみんなに。eスポーツ選手紹介サービス「ゲーマーズ・ナビ」
URL: https://www.gamers.work/
参照:
https://www.facebook.com/fbgaminghome/blog/welcome-mixer-facebook-gaming
https://newzoo.com/insights/articles/streamlabs-newzoo-q4-year-in-review-live-streaming-industry-report/